「社会」は実力差のでる記述問題6問中3問が全員満点
さらに社会の出題ミスは、より合否に影響を与えるものだった。なぜなら全員正解となった3問とも記述問題だったからである。
出題ミスの内容は、問題文が途中で突然分断されており、意味がまったく通じないというものだった。問題文の作成時に、「コピー&ペースト」をする箇所を間違えたとすら思えてしまう、きわめてお粗末な間違いだった。
国語と同じく、社会でも、武蔵中は記述式の問題が多い。2018年の入試では、解答欄の長い記述問題は全部で6問あった。受験生は武蔵中に入るために必死に記述問題に挑戦し、書く力を鍛えて受験の日を迎える。しかし、今年は長い記述問題の6問中3問が書いても書かなくても意味のない問題となってしまった。
▼残念ながら出題ミスは「氷山の一角」
武蔵のような名門校がこうしたミスを2科目同時にするとは信じられないが、これは事実だ。そして、この手のミスは残念ながら氷山の一角だといえる。2018年の中学受験では他の学校でも出題ミスが報告されているからだ。
中学入試真っただ中の今年2月3日深夜、午前0時56分。私は一本のメールを受信した。送り主は、私が代表を務める中学受験塾に通う受験生の母親だ。
「生徒は(試験の出題)問題文を持ち帰れませんので、うやむやにされてしまう可能性もあるのかなと思い、連絡させていただきました。塾からならば指摘していただくことはできるのでしょうか?」
メールの内容は前日の2月2日午後に受験した広尾学園中学(東京都港区)の「医進・サイエンス」コースに関することだ。入試を終え帰宅した子供は開口一番、母親にこう訴えたという。
「爪切りを題材にした理科の計算問題で、(計算の前提である説明文の)『作用点』と『力点』の用語が明らかに入れ替わっていたんだ」