立命館、女子学院、筑波大学附属駒場も出題ミス
今年は立命館中学(京都府長岡京市)の「社会」でもミスがあった。青森県の縄文時代の遺跡を選ぶ問題で、正解は「三内丸山遺跡」とするべきところを、「吉野ケ里遺跡」を正解として採点してしまった。合格発表後に問題と解答を受け取った学習塾の指摘で分かったため、3人が追加合格となった。
以上にあげた3校の出題ミスは、すべて単純なものだ。問題の難度や複雑さとは関係がない。つまり大学入試の不備とは異なるイージーミスが起きているのである。
このようなミスは何も今年に限った話ではない。
2017年、女子御三家のひとつである女子学院(東京都千代田区)では、算数の「大問」の1つで、問題を解くための条件が不足していたため、全員正解となった。合格・入学した私の塾の教え子は「私はあの問題は解いていないし、(最後の大問だったので)入学後、みんな解かなかったと言っている」と話していた。その大問に一生懸命時間を使って解こうと頑張った子は、女子学院に合格できず、入学していないということがあるかもしれない。むやみに難しい問題や悩ましい問題は避けるに限る。
私立中だけではない。
御三家同様に、多くの東京大学合格者を輩出している国立の筑波大学附属駒場中学(東京都世田谷区)も、2013年、国語の文章に不備があって記述問題2問が全員満点になったことがある。「お地蔵さんに笠をかぶせて」とすべきところを、「お爺さんに笠をかぶせて」としていたのである。このケースも、ミスだろうと解釈して一生懸命書いた受験生は報われず、よく分からないから飛ばした受験生に有利に働いた可能性がある。
受験倍率が高い公立中高一貫校の中でも特に人気の都立小石川中等教育学校(東京都文京区)では2012年、新年度が始まって2カ月以上も経過した6月になって追加合格を出したこともあった。5月に大手塾から指摘を受け、学校が想定した解法以外の解法があることが明らかになったのである。追加合格となった生徒は、既に他校に進学していた。
▼ミスを公開して対処していることは評価できる
つまり、大阪大学や京都大学のように、別の学校に進学したのちに合格が分かるという事態は中学受験でも起きているのである。
私は、ここで取り上げた学校の作問能力やチェック能力が低いと言いたいわけではない。チェックは厳密に行っても漏れが起こるものであり、意欲作を出そうとするほどミスが起こりやすくなる。むしろ、ミスを公開して対処していることは評価できる。出題ミスが放置され続けていることもあるのだ。