同情心を振り切る「一線」の引き方

では、ビジネスの場ではどうだろう。

法律の代わりとなるのは社則だが、それは過去の経験が“ルール化”されてできたものだろうか。社会人としての常識や業界の慣例という、定義がよくわからないものが幅を利かせてはいけない。同じ失敗をしても、上司の機嫌が良ければ許され、虫の居所が悪ければペナルティーを課せられる。そんなことが当たり前に行われていたら、部下は仕事がやりにくくてしょうがない。

といって、ルールを強化してがんじがらめになったのでは本末転倒だ。会社という、あいまいなルールで動く組織では、それぞれの個人が持つマイルールと、社則や業界の慣習をミックスした落とし所を、自分なりに作っていくしかないのかもしれない。

上司が部下をマネジメントする際も同じだろう。

*写真はイメージです。写真=iStock.com/cgj0212

上司の個性の違いはあるとしても、「ココまでは怒らない」が、「それ以上のことでは怒る」というような「線引き」のある上司は一本筋が通っている。

そういう上司は、自ら判例を作っているようなものだからだ。部下の立場から言えば、「線引き」のできるのが直属の上司なのか、その上の人なのかは見極めておきたい。

ビジネスマンは上司を選べない。でも、自分が結局、誰の「線引き」の下にいるかがわかっていれば、しなくてもいい苦労を少しは減らすことができるだろう。

(写真=iStock.com)
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