読売社説も冷静に指摘する「裁量労働制」の疑問点
読売社説は「裁量労働制は、あらかじめ決められた時間を働いたとみなす制度だ。専門性などを有するホワイトカラーが主体的に時間を決めることが可能となる」と裁量労働制を肯定する。
朝日社説と違い、その軸足を経営側に置いているものの、後半部分で次のようにも指摘している。
「みなし労働時間は、本人の同意が必要だ。使用者には、勤務状況を把握して、健康確保措置を講じることが義務づけられている」
「経営側による制度の悪用を指摘する声もある。制度の趣旨を踏まえた適切な運用や健康確保のあり方について、国会で議論を深めることが大切だ」
繰り返すが、今回の読売社説はわりと冷静である。見出しも「柔軟な働き方を冷静に論じよ」だ。やはり新聞の記事、特に社説は読み比べる必要がある。
裁量労働制については朝日と読売の社説を読み比べただけでも、まだ国会の論議が不足していることが分かる。本当に単純なミスなのか。徹底的な調査がなければ、国民は納得できないだろう。
(写真=時事通信フォト)