※本稿は小山昇『絶対会社を潰さない社長の口ぐせ』(KADOKAWA)の第2章「右肩上がりの経営を行なうための10の口ぐせ」の一部を再編集したものです。
「逆算」から売上目標を決める
物事は、「逆算」したほうがうまくいきます。
大学に入るには、試験日から逆算しますよね? そうすれば、いつから、どのように勉強を始めればいいかが決められるからです。
結婚するときもはじめに結婚式の日程が決まれば、席次を決める日や、案内状を出す日が決まります。
これと同じように、経営も逆算が基本です。「過去計算」ではなく、「未来計算」で考えるべきなのです。
最初に結果(来期の利益目標)を決め、結果を得るための実現手段を逆算して決めていきます。すなわち、「経常利益はいくら、そのためには経費はいくらで、売上はいくらか」を逆算していくのが経営計画です。
経営計画の数字を作成する際、多くの社長が「売上」を先に決めます。最初に来期の売上を決め、最後に経常利益の数字を出すということをしているのです。
ですが、今期の総売上の対前年比5%増、10%増と売上を設定し、それにもとづいて仕入はいくらで、粗利益はいくらで、給与は、経費は、と計算していくと、利益がなかなか出せません。
私は違います。「経常利益」を一番先に決定します。
最初に「経常利益」を決め、その後「損益計算書(P/L)」を順番にさかのぼっていけば、最後におのずと「必要な売上」が決まるからです。
経常利益の数字に、根拠はいらない
では、どのようにして「経常利益」の数字を決めたらいいのでしょうか。実はその「数字」は、適当に決めればいいのです。
数字は早く決めるのが正しいのであって、根拠や妥当性は二の次です。武蔵野の「実践経営塾」に参加する社長の中には「経常利益をいくらに設定していいかわからない。具体的な額が浮かばない」と質問してくる方がいます。そんなとき私は、「だったら、ゼロにしましょう」と答えます。
すると社長は「ゼロでは困ります。せめて2000万円は……」と慌てて数字を決めます。つまりほとんどの経営者は、細かな数字を把握していないだけで、大まかな数字は持っているはずなのです。
赤字の会社であれば、経常利益はゼロでもいい。ゼロは損益分岐点。赤字が2000万円の会社であれば、「ゼロ=2000万円の純利益」と同じことです。根拠も、正当性もなくていい。
今期の経常利益の10%増でも、50%増でも、倍増でも、「これだけの経常利益を出す」と決めればいい。社長が「いくらほしい」と決めれば、それが目標額になる。そして、そこから逆算して経営計画を考えます。
スタートする前から、数字の正しさを求める必要はありません。
とりあえず数字を決めてしまい、不都合は生じてから修正すればいいだけなのです。