互いに成長して、11年ぶりに迎えた因縁の対決

それでは、今年の論争はどうなるだろう。安倍氏は第1次政権の時のようなひ弱さは消え、憲政史上最も長い期間、首相を務める可能性が現実味を帯びてきた。歴史上に残る首相の仲間入りしつつある。

かたや枝野氏は、昨年の衆院選で立憲民主党を立ち上げ、枝野ブームを巻き起こした。自民党とは規模ははるかに違うとはいえ、野党第1党の党首になった。

互いに成長して、11年ぶりに迎えた因縁の対決は興味深い。しかし、今回の情勢は、圧倒的に安倍氏有利というのが衆目の一致するところだ。

安倍首相が改憲論を政局に利用しようという指摘は、今回もある。しかし政権復帰後、5年を超えた安倍首相はその指摘をはね返す政権基盤を確立している。

夏ごろに「Xデー」を迎えることに

改憲、特に9条の改正については、今なお国論が2分するテーマではあるが、11年の間に少しずつ改憲賛成派、容認派が増えてきている。また、この間、行われた衆参両院の選挙の結果、国会の構成は改憲派が圧倒的多数を占めている。自民、公明の与党だけでなく、野党側は希望の党、日本維新の会などが改憲勢力に名を連ねる。枝野氏がどれだけ舌鋒鋭く「安倍首相の元での改憲は応じない」と訴えても、現状で多数派を構成するのは至難の業だ。

安倍首相からみれば11年前のリベンジを目指す2018年の憲法政局。枝野氏にしてみれば、11年のドラマを再現して、政権奪取に道筋をつくりたい。国会発議する場合は6月20日までの会期を大幅延長して夏ごろに「Xデー」を迎えることになる。

(写真=時事通信フォト)
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