なぜ、別居中の妻に月4万も払わなければならないのか?

【離婚するなら知っておくべきこと その2:婚姻費用(別居中の生活費)】

2つ目は「婚姻費用(別居中の生活費)」です。東海地方に在住の西城道也さん(仮名・44歳)は結婚して15年。ところが今年、妻が突然出て行き、別居生活が始まりました。

「結婚生活が順調だったとき、私と妻は一緒に住む家の家賃や水道光熱費、食費などの毎月の基本的な生活費を互いの収入割合(私6:妻4の割合)に応じて負担していました。私は13万~14万円、妻は4~5万円ですが、妻は別居を始めるとその生活費を出さなくなりました」

*写真はイメージです(写真=iStock.com/blindtoy99)

毎月の負担額は4万~5万円増えて18万円となりました。妻がいなくなっても、かかる生活費はあまり変わりません。余分にコストを払うことになったことに加え、予期せぬ出来事が起こりました。なんと妻が、「毎月4万円、私に払ってよね」と言い出したのです。勝手に出て行っておいて、金をよこせとはどういう言い草なのか。そう怒った道也さんでしたが、後述するように、結局4万円払うハメになったのです。

別居のきっかけは、妻でした。「もう我慢の限界! 離婚しかないわ!!」。こんな捨てぜりふと荷物を残したまま、ある日、妻は出て行きました。まともな話し合いもせず……。自宅に取り残された道也さんは茫然自失。さらに追い打ちをかけるように「ちゃんと離婚するまで生活費を送ってよね!」と畳みかけてきた妻にめいるばかりでした。

まだ離婚が決まったわけではないのに、勝手に同居を解消し、結婚生活を放り出して強引に別居状態へしたのは妻でした。どういう根拠で「生活費を要求」するのかと思うかもしれませんが、法律上、夫婦間には扶養義務があるので、離婚して「元夫婦」に切り替わるまでは別居中の生活費(=婚姻費用)を払わなければなりません。

▼年収が夫600万妻100万 夫が別居する妻に渡す婚姻費用は月9万

家庭裁判所が公表している婚姻費用算定表によると、たとえば夫の年収が600万円、妻が100万円の場合、婚姻費用の相場は月9万円。また、夫が900万円、妻が300万円の場合は月8万円です(どちらも夫婦間に子供がいない場合)。

道也さんは静かな口調ですが、怒気を込めて、こう言います。

「妻はいいですよ! 家に(生活費を)4万円入れないのに、私から4万円もらえれば、実質8万円もプラス。それに対して、私は妻が入れる4万円がなくなり、その上、妻へ4万円も渡したら、マイナス8万円。それではとてもやっていけません。私は我慢して家に残ったのに『先に出て行った者勝ち』という理屈がまかり通るのは間違っている!」

一部の例外を除き、別居の経緯には関係なく、婚姻費用の支払い義務は生じますが、“被害”はそれ以上になるリスクもあります。

夫が妻に夫名義のカード類(クレジットカード、カードローン、キャッシュカードなど)を預けている場合、妻の金銭感覚が狂っていれば夫のカードを使って散財する可能性があるのです。例えば、別居先の家具や家電、家財を「夫のカード」で買い足したり、別居先のアパートの敷金や礼金を「夫のカード」で支払ったり。夫は、妻に送金する婚姻費用+カード支払い分の二重払いを強いられ、経済的に苦しむといったケースは少ないとは言えないのです。

後編(離婚するなら知っておくべきこと、その3~5)へ続く

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(写真=iStock.com)