集中力を長時間持続させる秘訣とは?

サッカーでは集中力がプツリと切れたときに、ゴールを奪われることが多いといわれます。よくあるのは、セットプレーで集中力が途切れるケース。フリーキックやコーナーキックをとられると、いったんプレーが止まる。その際、自分のポジションやマークする相手を気にしてしまい、ボールへの執着が途切れる瞬間があります。このとき心のスキが生まれ、敵の選手へのマークが甘くなってしまうのです。だから、セットプレーのときほど、ボールに対する集中力を高めるように意識しないといけません。

撮影=佐藤亮

しかし、現実的に考えれば、90分間、100%の集中力を持続させることは不可能です。特にサッカーは体力の消耗が激しいので、集中力が落ちる時間が必ずあります。

集中をできるだけ切らさずにプレーするためのポイントは、集中力に強弱をつけることです。「集中力のスイッチをオンにする」という表現をよく聞くことがありますが、僕の感覚では少し違います。オンとオフを切り替えるというと、100%か0%かのイメージですが、サッカーでは0%のときがあると必ずそのスキをつかれてしまいます。だから、僕の感覚では「集中力に強弱をつける」という表現のほうがしっくりくるというわけです。常に50%くらいの集中力を維持するようにして、勝負どころでは100%の集中力でプレーをする。そうすれば、セットプレーのときも完全に足が止まることもないし、プレーの質は低下しません。

感覚的なものなので、なかなかイメージしづらいかもしれませんが、家電にたとえれば「省エネモード」、パソコンでたとえれば「スリープモード」という感じです。電源が切れているわけではなく、すぐに起動することができる。そんなイメージになります。

また、集中力が50%以上の状態で維持されているときは、試合の状況や相手チームと味方のポジションもよく見えるもの。サッカーで重要なスキルである先読みの精度が上がるのは間違いありません。