日経は「再指定」をストレートに評価

朝日と対照的に北朝鮮に対するテロ国家再指定をストレートに評価するのが、日経新聞の社説である。

冒頭から「北朝鮮は核兵器やミサイル開発に加えて国際テロ活動も支援し、国際社会を威嚇してきた。再指定は極めて妥当だ」と書き、見出しも「北のテロ国家再指定は妥当だ」と分かりやすい。

しかも「大韓航空機爆破事件後の1988年にテロ支援国家に指定されたが、ブッシュ(子)政権下の2008年に解除された。米側は当時、北朝鮮との核協議の進展を促すためだと説明したが、日本人拉致問題などが未解決なまま指定を解除したブッシュ政権の対応には批判的な見方が多かった」とブッシュ政権を批判する。

日経社説は「約9年ぶりの再指定は遅すぎたともいえる」とも指摘するが、トランプ氏も再指定を明らかにした11月20日、「何年も前になされるべきことだった」と述べ、歴代の政権を暗に批判している。

日経は「説得工作が失敗」と書く

さらにこの日経社説が朝日社説と大きく違って興味深いのは、以下のくだりである。

まず「トランプ政権による再指定の公表は、中国が派遣した習近平国家主席の特使が訪朝から帰国したタイミングと重なった」と指摘し、「中国はかねて、北朝鮮の核問題を対話によって解決すべきだと唱えており、特使派遣で打開の道筋が見えるかが注目されていた」と書く。

そのうえで「結局、中国特使と金委員長との会談は見送られたとみられ、核問題をめぐる中朝の立場の溝は埋まらなかったようだ。米政権がテロ支援国家の再指定を発表したのは恐らく、中国による説得工作が失敗したと判断したからだろう」と推測する。

朝日社説は前述したように「中朝の関係改善の対話があった」と書いている。「説得工作が失敗した」と書く日経と180度、違う。それは朝日社説がいうように「真相が見えない」からだ。

ただ社説である以上、朝日も日経も読者が納得できる根拠を示してほしい。