どうしても拉致解決と結び付けたい産経
次に産経新聞の社説(主張)に触れておこう。
前半で「再指定に伴う米の追加制裁と併せ、国際圧力を強める上でその意義は大きい」と評価し、拉致問題に言及する。
「日本人の拉致も北朝鮮の重大な国家犯罪である。トランプ大統領は国連演説で横田めぐみさんのケースを取り上げ、来日時に被害者家族と面会するなど、拉致問題に高い関心を示してきた」
「『テロ支援国家』再指定を拉致問題解決の契機としなければならない。そのための行動と努力が政府に求められる」
拉致問題が大好きな産経社説だけある。とにかく拉致解決と結び付けたいのだ。見出しも「拉致解決にどうつなぐか」である。
圧力強化だけで解決ができるのか
さらに産経社説は「安倍晋三首相とトランプ氏は、北朝鮮に核・ミサイル開発を断念させるため、『「最大限の圧力』をかけることで一致している」とも指摘し、「背後にあるのは、08年の合意を含め、対話を理由に核・ミサイル開発の時間稼ぎを許した過去への反省である」と強調する。
北朝鮮を許した反省は必要かもしれない。しかし圧力の強化だけで解決しようとすればするほど、北朝鮮は反発するだろう。
ここでイソップ寓話の「北風と太陽」を思い出してほしい。北風と太陽がお互いの強さを競い、旅人の衣服を脱がせようと争った物語である。
冷たい強風を吹きつければ吹きつけるほど、相手はかたくなになる。太陽がしたように自然に熱を伝えてあげれば、相手も自然と打ち解けてくる。
北朝鮮も同じだ。朝日社説が主張しているように「非核化のための対話を進めるには息の長い継続的な努力を注ぐほかない」し、また読売新聞の社説が訴えているように今後は「指定解除を非核化交渉での取引材料とする」ことも検討すべきではないだろうか。