ビジネスマンにお勧めなのは投資信託の活用
積極的に経営にコミットしていくことも重要です。NOTAにしても、最初から順風満帆だったわけではありません。米国で展開した事業がうまくいかず、経営危機に陥ったこともあります。洛西さんと何度も打開策を検討し、資金が足りなくなれば追加で出しました。
その結果、画像や文書の共有サービス「Gyazo」が世界で1000万人に使われるまでに成長したわけです。現在では有料会員も増えて業績も順調。ここに来て「SCRAPBOX」という、遠く離れた人が同じページを同時に編集できるサービスを立ち上げ、こちらも好調です。
もちろん、お金を出すのがエンジェルの1番の仕事なのですが、私は投資先と一緒に事業を育てることに、会社投資の醍醐味を感じています。そこで価値の高いサービスなりプロダクトを作り、それを世に送り出す手助けができることが何よりも嬉しいのです。
いまも、いくつかの投資先では毎週もしくは隔週で、先方の経営者やチームのメンバーと意見交換します。そこにないスキルを持った人が必要なら、私がスカウトしてきますし、営業先も紹介します。
大半のベンチャー企業は、資金ゼロに近い状態からの出発で、私のような投資家がそばにいることにメリットを感じてもらっています。投資先の価値を見出し、チームの組成、資金調達の適切な時期などについて、1歩引いた立場から冷静に判断し、具体的な対処ができるからです。
とにかく、まだ日本ではベンチャー企業を育てていく風土に欠け、その仕組みも乏しい。それだけに、ITやネット事業で成功した人たちが、エンジェルとして投資していくのは、大変有意義なことだと考えています。
その際にエンジェルに求められるのが「ペイフォワード(次に渡そう)の精神」です。社会への恩返しのつもりで、次世代をサポートする。投資先のなかからソニーやホンダを超えるグローバル企業を輩出することを自分の使命にしています。
ビジネスマンが財テク感覚で私たちのような投資をしても、成功を望むのはかなり難しいでしょう。私には起業家としての経験があり、DeNA上場時の創業者利益があるから「この案件ならいける!」と判断し、余裕を持って投資ができるのです。
もしも私のような投資をしたいのなら、「エンジェルファンド」などの投資信託を選ぶ方法があります。しかし、ハイリスクであることは変わりありません。生活とは切り離された、万が一全額を失っても問題のない資金で行うべきでしょう。
東京都立大学大学院で工学博士を取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、1999年にDeNAを共同創業。COOとしてサービス開発やシステム開発の統括などを行う。2008年に非常勤取締役、11年から顧問に。