東大生曰く「親は何も言わずに自分の話を聞いてくれた」

無意識のうちに、わが子をストレス解消の手段としている家庭は、明るい未来からはドンドンと遠ざかる。戦場では必ず作戦が必要で、やみくもに動いても勝機は訪れないのだ。そして、「後方支援基地」なくして「戦い」は続けられない。そのことに気付いた親は、子育ての好循環を体験できるようになる。

*発売中の雑誌『プレジデントFamily 2017秋号 東大生179人の小学生時代』(プレジデント社刊)

それでは、どのように工夫すれば、そうした「支援」ができるようになるのか。『プレジデントファミリー2017年秋号』の特集記事「東大生173人アンケート 学力を伸ばすたったひとつの親の習慣」には、そのコツとしてこう書かれていた。

「子供の話を聞くこと」

学力を伸ばすたったひとつの親の習慣。それは、親が子供の話に耳を傾けること。これには全く同意だ。話を聞くことの重要性は、私も学校や生徒、親への取材を通して頻繁に感じることである。

たとえば自己肯定感が高い(=自分が好き。家族が好き。未来は明るいと思う)という大学生に話を聞くと、彼らの多くはこう証言する。

「自分の親はあれこれ言わずに、自分の話を聞いてくれた」

▼東大生の親は子供を「言葉で育てる」

人間には「承認欲求」があり、それが満たされることは何よりも重要だ。こうした大学生の家庭は、意識していたかどうかはわからないが、「承認欲求」を満たす子育てをしてきたのだろう。その手段はいろいろあるが、今回は「言葉で育てる」ということにフォーカスしてみたい。

取材を重ねていると「親は自分の話をよく聞いてくれた」と証言する大学生の親は、「結果」を褒めるのではなく、子供の「能力」を褒めていることがわかる。

例えば、絵画コンクールで優秀賞を取った場合に、「賞を取ってすごいね」ではなく、「色彩感覚がすごいね」と褒めているのだ。

賞を取れるかどうかは運に左右される。そうした「結果」よりも、自身が持っている「能力」を褒められることで、子供は自信を持ち、さらに「頑張るぞ!」というモチベーションを獲得していく。「結果」よりも、「能力」を身につける過程を評価しているように感じるのだ。