指導者は選挙で選ばれるが……
共産党大会は同党の最高意思決定機関であり、5年に一度開催される。最も重要な役割の一つが党の指導者を決めることだ。法政大学・趙宏偉教授は「党指導部の任期は5年。ここで選ばれた人たちがこれからの5年間、党を支配し、全国を統治することになるので、大変重要だ」と説明する。
指導者選びのプロセスは次の通り。現在、共産党の党員数は約9000万人、14億人の国民に対して、15人に1人という割合を占める巨大組織だ。党大会は代表制で、全国の40の地域や組織から選挙で選ばれた2300人の党大会代表が、北京の自民大会堂に集まる。
大会では、党大会代表の投票で約200人の中央委員と約100人の中央委員補を選ぶ。そして党大会が閉会した翌日に開かれる「中央委員会全体会議(全会)」で、中央委員が25人の政治局員を選ぶ。この政治局員の中から、党の最高指導部である「政治局常務委員会委員(常務委員)」が選ばれる。現在の常務委員は7人のため、その権力の大きさからチャイナ7(セブン)と呼ばれている。
さらに、この7人の中から党のトップである総書記が選ばれる。総書記は国家主席と中国共産党軍事委員会主席を兼ねる。つまり総書記は党のトップ、行政のトップ(国家主席)、軍のトップ(最高司令官)を務めるわけで、その点では米国の大統領に近い。ちなみに行政と軍のトップの称号は「主席」で、党だけが「総書記」である。
あらかじめ結果は決まっている
面白いのは、一連の手続きで「選挙」という民主的な手続きをとっていることだ。党大会代表から中央委員、中央委員補まで定員を若干上回る候補者が立候補する。当然、落選者も出る。だが、だれが当選し、だれが落選するかは、各レベルで党が関与しており、詳しいリストが事前に作成されているという。
例えばエリート中のエリート集団である中央委員と中央委員補は、党大会代表による選挙で選ばれるが、候補者は党中央政治局とその常務委員会によって確定される。さらに指導部層である政治局員、政治局常務委員、総書記は、中央委員会による選挙だが、実際は常務委員会、政治局によって決定済みの同数の候補者に対して信任投票を行って選出する。この候補者をめぐって激しい権力闘争が繰り広げられている。