夕張の医療は日本のモデルケースに

その背景には夕張で発達した「予防医療」がある。総合病院がなくなったことで、市民と地域の町医者との距離が近くなり患者の異変が早期に発見されやすくなったことや、そもそも病院を頼りにできないという意識から大病にはならないよう健康に気をつける人が増えたことなどが発達した理由として考えられるという。

夕張市立診療所を管理している医療法人社団豊生会の星野豊理事長。

現在、夕張市立診療所を管理している医療法人社団豊生会の星野豊理事長も「患者の病気や死との向き合い方が変わってきている」との考え方を示す。体調を崩しても大病院に入院するのではなく、在宅での治療を希望する人の割合が増えてきているのだという。

星野理事長は「結局、予防に勝る治療はないのだと思っている」と話す。日本全体の国民医療費は15年度で42兆3644億円だったが、25年度には54兆円まで膨れ上がるとされる。「夕張の医療のやり方は(人口減少していく未来の日本の)モデルケースにならざるをえない」と強調する。

「集約」で6%が中心部に移住

夕張市は都市機能を集約する「コンパクトシティ」構想を進めている。これには、市民の生活拠点をまとめることで冬の除雪費が抑えられるうえ、老朽化した住宅から新しい住宅に移転することで市民が負担する暖房費などの生活費が安くなるメリットがある。

市は古い市営住宅の住人に対し中心部に設定した清水沢地区などに建設した新しい団地への引っ越しを促しており、条件によっては引っ越し費用を市が負担している。

鈴木市長は「構想が始まって6年で300世帯以上移転した。全体の約6%も移ったということで全国から評価いただいた。ただ私は夕張を持ち上げすぎだと思う。全国で人口減が進む中、夕張みたいな小さな町の6%が注目されるって、日本は相当深刻だ」と話す。