まずは自分が「いかに下手か」を思い知ろう

自分のプレゼンテーションを、ビデオに撮って見たことはありますか? もしないなら、今すぐやりましょう。プレゼンテーション本番でなくとも練習を撮るのでもかまいません。

まずは自分が「いかに下手か」を知ること。自分のプレゼンテーションが「どんなにつまらないか」を知ること。すべてはそこから始まります。自分の姿をビデオで見て「こりゃあ、ダメだ」と思ったのなら、大丈夫です。そこにはそう感じたセンス(観察眼や感受性)があり、向上心が芽生えるから。私自身の原体験もそこにあります。

BCGに入って3年目。30社、数十名への報告会を数日後に控えたある日、プロジェクト・マネジャーUさんの家に呼ばれました。

「お前、ちょっとプレゼンやってみろ」

それを彼はビデオに撮って、その場で見せてくれました。

「見てみろよ。面白いか?」

そこには、たどたどしく話す、自信のなさそうなコンサルタントがいました。話し方は一本調子で抑揚も大してなく、強弱はあってもそれはただの大声と小さな声の連なり。とても抑揚とは言えないものでした。

「面白くないです」

見ていてなんだか悲しくて吐きそうでした。そのあとUさんはなにも言わず、同じ資料を使って、その半分くらいをプレゼンして見せてくれました。ビデオに撮りながら。素直に驚きました。同じ資料を使っているのに、インパクトがまったく違います。そのプレゼンテーション資料は、突如、命を持ったストーリーとなり、聴衆に訴えかけています。

「あなたたちはどう考えますか?」
「これからどうしますか?」
「道は2つしかありませんよ!」