ダイエットを成功させたいのなら、「糖質」を控えた食生活に切り替えるべきだ。カロリーや油脂の摂取を控える必要はない。つまりコレステロールを気にせず、肉や卵、揚げ物をいくら食べてもいいのだ。『カロリー制限の大罪』(幻冬舎新書)を上梓した北里研究所病院 糖尿病センター長の山田悟医師が、最新の栄養学の知見を紹介する(後編。全3回)。

控えるべきは糖質で、カロリーではない

(1)糖質を控えた食生活をしてください。
(2)カロリーや油脂の摂取は控える必要がありません。
(3)コレステロールを気にせず、肉や卵、揚げ物などを食べてください。
(4)たとえこれらのカロリーが高いものを食べたとしても、太ったり、血中脂質値が悪くなったりすることはありません。

マヨネーズの高カロリーやコレステロールの罪深きイメージは、潔く捨て去ろう。油脂がたっぷりのマヨネーズには、血糖値の上昇にブレーキをかける働きがある。油脂はどんどん摂ってもいい食品だ。

現在の世界の最先端の栄養学、医学は、このように断言しています。

「糖質」というフレーズは、この2、3年でよく目にするようになったと思います。低糖質、糖質OFF、ローカーボ…etc.

では、なぜ糖質を控えなければならないのでしょうか?

その理由は、糖質は「血糖値」を上昇させる唯一の栄養素だからです。

血糖値の急激な上昇や、大きな上下変動は、糖尿病だけでなく数多の大病をまねきます。万病を防ぐためには、血糖値の上下動を最小限にとどめるのが一番。これが現代の医学の考え方の根本にあるのです。

ゆるやかな糖質制限にシフト

私は糖尿病の臨床医として日々患者さんと接するなかで、糖尿病の治療食、もしくは糖尿病を防ぐための肥満予防のための食事として、糖質制限食に注目しました。勤務する北里研究所病院の治療食として正式に認められたのが、2009年のことです。

糖質を抑えた食生活に切り替えると患者さんの血糖値が改善します。

それまでのカロリー制限食では厳しくて続けることができなかった人たちも、糖質制限食ならば長期間続けられるようになりました。

糖質を抑えることによって、糖尿病や肥満の改善に加えて、血中脂質、血圧、腸内環境の改善、筋力や骨力が衰えないこと、ガンの予防、認知症の予防、アンチエイジングや美肌に効果がある、など多くのメリットがあることが続々と証明されたり、示唆されたりしています。