いくつものしがらみにとらわれて、身動きできないビジネスパーソンが多い。それだけに、気楽な人生を送っているかに見える、タモリの生き方は「憧れの的」として映る。まわりに「毎日が楽しそう」と思わせる生き方のコツとは――。
「これでいいのだ」と肯定的に受け入れる
日本の代表的なエンターテイナーとして、今も「ブラタモリ」などのTV番組で活躍しているタモリ。いつも肩肘張らず、飄々とした姿は、ビジネスパーソンにも根強い人気がある。しかし、タモリは早稲田大学第2文学部で西洋哲学を学んだ「哲学青年」という別の顔も持ち合わせ、自分自身の人生に悩み、考え抜いた末に到達したのが、「自由気ままに生きる」という人生哲学なのだ。
多くの芸能人の言動をウオッチし、『タモリ学』『笑福亭鶴瓶論』などの著書もあるコラムニストの戸部田誠さんは、「タモリは『自分で何かを規定し、決定し、意義付け、存在していかなければならない』のが、人間の『自由』なのだといいます。そして、哲学者のキルケゴールの『人間とは精神である。精神とは自由である。自由とは不安である』という言葉を引き合いに出し、それゆえ人間は『不自由になりたがっている』というのです」と語る。
たとえば、社会の慣習や価値観といった「しがらみ」に身を委ね、自由を放棄するという代価を払って、不安から逃れる。しかし、タモリはそうしたしがらみを拒絶し、何ものにも縛られない自由を得る道を選んだわけだ。それだけに、しがらみで身動きが取れないビジネスパーソンには、タモリの生き方が魅力的に見える。そこで、戸部田さんと一緒に「タモリ語録」から自由かつ気楽に生きていくヒントを探していこう。