単語帳とにらめっこよりいい方法とは?

そんな悩みを解消するには、「やはり音読が一番」と柿木さんはいう。18カ国語を操った考古学者のシュリーマンも、音読で外国語を短期間のうちにマスターした。

「音読すると視覚野だけでなく、聴覚野、運動野など脳の幅広い部位が活動し、記憶が定着しやすくなります。さらに、視覚と聴覚を司る神経細胞がとりわけ多いので、英単語の意味を表す絵や図を見ながら音読すると、視覚野も同時に働いて覚えやすくなります」

後藤さんは音読を繰り返す効果について、「発音記号付き“辞書”ができるウェルニッケ野と、言葉の発声を担うブローカ野の間で、神経細胞が強く結びつき、“英語の回路”が出来上がります。そうなれば、自然と英語が口をついて出てくるようになります」という。

そして、後藤さんは英語の発音を覚えるのに、自分で考案した「新カタカナ表記」を勧めている。

「発音記号で無理に覚えようとすると、英語が嫌いになってしまいます。日本人が知っているカタカナと関連づけたほうが、発音を覚えやすいのです。そこで新カタカナ表記は、ネイティブの発音に近くなるように工夫しています」

英単語の学習は夜するかそれとも朝か?

英語の達人たちに聞くと、「夜に覚えるのがお勧め」という。カリスマ英会話講師のニック・ウィリアムソンさんは「就寝中に脳は新しい情報を整理しています。だから寝る前に勉強した内容は、脳に定着しやすいのです」と理由を示す。

さらに、朝起きてから昨夜の復習をすると効果は絶大だそうだ。柿木さんは「『エビングハウスの忘却曲線』という実験データによれば、人間は1日経つと、記憶した内容の3割弱しか覚えていないそうです。そこで、朝にもう一度覚えれば、記憶の定着率を7割くらいに引き上げられます」と説明する。

その柿木さんが考えた英単語の覚え方をご紹介しよう。

「前の晩に英単語100語を覚え、次の朝に通勤電車の中でテストします。忘れていた単語に新しい単語を加え、100語をまたその晩に覚えます。それを繰り返し、1週間で覚えた英単語を週末におさらいすれば、ほとんどが脳に刻み込まれるはずです」