「第3号被保険者」はいずれ廃止か

とはいえ、その選択は本当に合理的なのか。短期的には確かに「働き損」となるかもしれないが、長期的な家計プランを考えれば、本来妻のパート収入は多ければ多いほどいいはずだ。子育てが一段落し、時間に余裕ができたタイミングで、むしろパート収入を増やし、子供の進学費用や夫婦の老後資金を積み立てていくことが望ましい。短期的な損得でなく戦略的な観点で、妻のパート労働を捉え直してみてはどうだろう。

パート収入を増やす方法は、働く時間の延長だけではない。友人の例では、パート先で新しい仕事を担当することを条件に、時給を上げてもらえたこともあった。近所の職場から、たとえ交通費がかかってもより待遇のいい職場に移る、簿記やパソコンなどの資格を取るなど、時給を上げる方法はほかにもいくらでもある。

スキルに自信のない場合は、大手の派遣会社で人材登録をしてみるのも1つの手だ。そうした会社は登録スタッフ向けに、パソコンや英語、ビジネス関連のスキルを学べる講座を、比較的安い受講料で提供している。そこで自分に投資すれば、自分自身の人材価値をアップできる。

パート計画の立案には夫も参加を

所得税の配偶者控除や年金の「第3号被保険者(※)」はいずれ廃止される可能性は大きい。「壁」がなくなると、もっと働きたいパート主婦が増えるだろう。そのとき、以前から働き続けてスキルや経験、職場での信頼を積み上げてきた「スーパーパート主婦」は、優位なスタートラインに立てるはずだ。

こうした戦略的なパート計画の立案には、夫もぜひ参加してほしい。社会の流れやビジネスの常識、雇う側の論理(たとえば、年末になってもパートを休まないような人を長期的には評価する)など、ビジネスパーソンならではの視点を持ち込んでほしいのだ。もちろん、上から目線でアドバイスを押し付けないなど、夫婦の会話の鉄則は守ること。まずは妻の話にしっかり耳を傾けよう。

互いの知恵や情報を共有しながら、世帯収入アップの計画を夫婦で立ててみよう。

※会社員や公務員に扶養されている配偶者で、個別に保険料を納める必要はない。

(構成=川口昌人)
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