ワークショップ形式の体験型セミナー

【三宅】今年の6月で22周年を迎えられました。多くの英語教員の貴重な学びの場となっていると思います。「継続は力」と言いますが、これだけ長く続けられているというのは、何か秘訣があるのでしょうか。

【谷口】まず「達セミ」は組織がありません。私1人が事務局をしていて、開催日に集まってきた先生が参加費を払って、そこで勉強会に参加するだけなんです。ですから、年会費もなければ、会員もいない。そうした人間関係をエモーショナル・タイと呼んでいますが、気持ちの上のつながりです。「この先生なら、またはこの人のためなら聞きに行こう」という勉強会だから続いたと思っています。

【三宅】そこで成果の上がる授業のあり方をみんなで学ばれて、学校に戻って自分の授業に取り入れられるわけですね。

【谷口】いろんな教材とか、教え方を、参加者が生徒の立場になって、受けるセミナーなんです。以前は研修と言えば、大学教授の講義中心でしたが、最近では座学よりもワークショップ形式で、体験型セミナーになりつつあります。これだと、自分が教える立場のときに取り入れやすい。例えば、教師が説明する際の間の取り方とか、言い方などにしても、生徒の立場になってみると、授業のヒントになるところが少なくありません。また、生徒役になると、緊張しますのでいい刺激になっていいのではないでしょうか。

『対談(2)!日本人が英語を学ぶ理由』三宅義和著 プレジデント社

【三宅】私も様々なセミナー等の機会で、中学校、高校の英語の先生のお話を聞かせていただき、ワークショップにも加わり、生徒役をやらせていただき、とても刺激になりました。非常にテンポが良くて「ああ、なるほど」と、もう目からウロコが落ちる感じでした。

【谷口】確かに目からウロコというのは、参加した先生方の感想のなかでも、とりわけ多い言葉です。目のウロコは時々落としたほうがいいですよね(笑)。

【三宅】ところで、お忙しい先生方が休日を利用して全国各地から参集される。交通費だって大変でしょう。運営費用はどうされているのですか。

【谷口】講師はノーギャラ、原則、交通費・宿泊費は達セミが負担。参加費は全国一律4000円と決めています。でも10人集まって入ってくるのは4万円。土日2日間で8万円です。それで赤字になった分は、私が負担してきました。私たちは公務員なので、お金儲けでやっているわけでありません。そこに来れば皆さんが得るものが必ずあると信じて続けています。

(構成=岡村繁雄 撮影=澁谷高晴)
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