9割が趣味を楽しみ、幸福度は2割が満点
「味噌汁は朝食だけで、夕飯にはいただきません。冬には麹や酒粕で汁物をつくり、減塩を心がけています」と話す山田君枝さん(87歳)は理容師だったが、今はボランティア活動に励む。夫の内明さん(92歳)は、「松川ふるさと祭り」で、人生を謳歌する魅力的な男性(75歳以上)を決める「ミスターぴかいちコンテスト」で自慢の歌声を披露し、優勝した経験を持つ。杜氏の仕事を続けてきた内明さんは、背筋がピシッと伸び、毎朝4時過ぎに起床。「午前中は野菜畑の世話に忙しい」(内明さん)という。3世代同居で、風呂掃除は内明さんの担当だ。
松川村の長寿の要因を調べた『長寿のヒミツ――松川村はなぜ日本一なのか』(山根宏文編著)によると、松川村の男性で平均寿命以上の約半数にあたる153人の約9割の人が「趣味を楽しみ」、その中身は農作業、園芸、カラオケなど約50種類あった。幸福度では約2割が10点満点、約5割が7点以上と答えている。
村役場の近くに、70歳のマスターが県庁を定年退職後に趣味が高じてオープンしたジャズ喫茶「M‐gate」がある。鄙には稀なアンティークなウッディー調の洒落た造りだ。マスターの池原和雄さんは松川村の特徴をこう話す。
「高齢者は伸びやかに生活しています。公民館などでいろいろなグループが活動をしており、時間を見つけては活動に参加されている方が多い。公民館はどこの市町村にもありますが、松川村は活用頻度がかなり高い」