なぜ商店街は衰退し、ショッピングモールがは隆盛しているか?
たとえば、旅行先や帰省先で目にする「シャッター商店街」。空き店舗が目立つ通りを歩きながら、「ここも人が減ってしまったからな」と因果関係をそれとなく子どもに説明した気になっているのではちょっとさびしい。もちろん因果関係を説明するのは大切なことだが、人が減ったから商店街が廃れたということくらい、子どもでも十分認識できる。もう一歩進んだ会話をしたい。
ドライブをしていたら、郊外に大型ショッピングセンターを見かけることがあるだろう。「この大型ショッピングセンターと、さっき見た商店街の衰退には何か関係があると思うんだけどな」と、子どもに考えさせてみてほしい。
大型ショッピングセンターには、多くの店舗が入っている。特に地方だと自動車の所有率が高いので、商店街に行って専門店を一つずつ歩いていくより、大型ショッピングセンターに行ったほうが明らかに便利。しかも、価格的にも商店街より安くすむことが多い。「大型店やチェーン店だからこそ、規模の論理で価格を安く抑えられる」。そういった理由もあるということを会話の中で教えていきたい。
なぜ大手小売店はプライベートブランドを展開するか?
何も小学生や中学生にそこまで教える必要はないのではないかと思う人もいるだろう。しかし、繰り返すが、現代の子どもに問われているのは「大人の常識」なのだ。芝中学校の入試では次のような問題が出題(2013年)されている。
≪下線部(1)について、ここで言う「さまざまな工夫」の例として、正しいとは言えないものを、次のア~エから一つ選び、記号で答えなさい。
ア.一度に仕入れる量を少なくして、仕入れにかかるお金を節約する。
イ.大量に売れることを見込んで、ひとつあたりの利潤を低く設定する。
ウ.生産者から直接仕入れることで、間に入る業者に支払うお金をなくす。
エ.独自ブランドの商品をつくり、広告や営業にお金をかけずにすむようにする。
大規模なショッピングモールなどの商業施設は、消費者にとってはありがたいものですが、街の個人商店にとっては悩みの種です。大規模な店ならば、(1)さまざまな工夫によって商品を安く提供することができますが、個人が営む商店では品ぞろえや価格の競争に勝てません。すると、店をたたまなくてはならないところも出てきます≫
大手の小売店側が独自につくる、「プライベートブランド(PB)」(イオンの「トップバリュ」やセブン&アイの「セブンプレミアム」など)についても子どもと話すというのもいい。この<トップバリュ>なら、缶のウーロン茶は29円、500mLのペットボトルは51円などとかなりリーズナブル。スーパーの西友は「やっぱコスパ!」というコピーを使っています。同社のPB「みなさまのお墨付き」を買う時に、「プライベートブランドは安いね」と子どもに話してみるといい。
ちなみに、前出の問題の正解は「ア」。一度に仕入れる量を少なくするのではなく、逆に仕入れる量を多くして単価を下げ、仕入れにかかるお金を節約するのである。