先に書いた通り、こうした共同生活の中での関係性の変化を見せる企画は、『チョイ住み』に限らず存在する。例えば最近でも、同じように芸能人同士がひとつ屋根の下で暮らす『モシモノふたり』(フジ)が今年3月まで放送されていた。こちらは主に未婚の男女が出演し、番組のHPには「芸能人たちのありのままの人間性、そして本人すら意識していなかった隠された魅力が、同居生活を通して赤裸々に明かされる」とコンセプトが書かれている。

一方、『チョイ住み』のコンセプトは、「その街に、まるで引っ越したような、全く新しい旅番組」である。しかし最近の放送回を観ていると、「異なる世代・異なる性質の2人が“他者”と出会って変化すること」が、コンセプトの一部として重要なものになりつつあるように感じられる。単に「ある場所・ある人物の知られざる魅力が見える」ことに留まらず、「ある人が他者と出会って変わり、新たな一歩を踏み出す」ところを見せる番組へと変化してきているのだ。

ただし『チョイ住み』は、この試みがうまくいけば感動を呼ぶが、そうでなかったときは平凡な旅番組になってしまうリスクを常にはらんでいる。野村と土井の「キューバ編」は、その化学反応――安易に使うのがはばかられる言葉ではあるが――が、文字通りうまくいったからこそ、初回放送から1年近く経ってもなお語られているのだろう。

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