過去の重大事件を知ることで見えてくる「今」

それに並ぶほどの衝撃が走ったのが、神戸連続児童殺傷事件なのだ。神戸の住宅街で小学生が鈍器で殴られたり、刃物で刺されたりする事件が発生し、2名が死亡、3名が重軽傷を負った。犯人は神戸新聞に「さあゲームの始まりです」に始まる犯行声明を送り付けた。その文章はこう続く。

「愚鈍な警察諸君 ボクを止めてみたまえ ボクは殺しが愉快でたまらない 人の死が見たくて見たくてしょうがない 汚い野菜共には死の制裁を 積年の大怨に流血の裁きを
SHOOLL KILL 学校殺死の酒鬼薔薇」

土師淳君のケースでは、遺体の頭部を酒鬼薔薇が自身の通う中学校の校門前に置くなどしたことから、非常に大きな衝撃を与えた。日本中が「次は誰が殺されるのか……」と疑心暗鬼になるなか、捕まったのが14歳の少年であることが明らかになり、もはや「どう捉えればいいのか……」という混乱を大人にも子どもにもたらした。写真週刊誌『FOCUS』が犯人を実名で報じ、顔写真を掲載。少年法の在り方などについても大きな議論を巻き起こした。

ここまでの事件だったからこそ、2015年の『絶歌』発売があそこまでの大騒動を呼び、出版することの倫理性が話題にされ、さらには「表現の自由」などの議論も巻き起こったといえる。最近では麻原の3女・アーチャリーこと松本麗華さんがAbemaTVの番組内でオウム事件について語り、「よくぞ説明してくれた」や「犯罪者の娘を出演させるとはけしからん」など賛否両論の意見が渦巻いた。

ワイドショーの功罪

オウム事件と神戸児童連続殺傷事件の2つは、現在のワイドショー、情報番組の形を定着させた感もある。事件をVTRで振り返り、現場リポートを入れ、識者が登場。過去映像とともに事件を彩る登場人物を次々と登場させ、視聴者にとっては「いつものメンバー」によるドタバタ劇を見せる、という手法だ。

現在、「森友学園」や「トランプ旋風」「北朝鮮の核開発」といった話題がテレビで多数取り上げられているが、いずれは忘れられる話題になるかもしれない。だが、オウム事件と神戸児童連続殺傷事件については、本当にあまりにも衝撃が強過ぎ、いつまでも忘れることができないのである。

【まとめ】今回の「俺がもっとも言いたいこと」
過去の大事件を風化させないためにも、当時の状況を知る者は、自分なりに若者へと語り継いでいかなければならない。
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973年東京都生まれ。ネットニュース編集者/PRプランナー。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『バカざんまい』など多数。