親が有名でもプレッシャーを感じることはない
【田原】ところで永守さんのお父さんは日本電産の永守重信CEO。すごい人物が父親で、息子としてはどうですか。
【永守】サラリーマンの親父を持っても、八百屋の親父を持っても、親父は親父。親が有名な経営者だから、余計にリキむとか、プレッシャーを感じることはないです。
【田原】お父さんはどういう人ですか。
【永守】素直にすごい人だと思います。世の中のカリスマって、きっとこうなんだろうなと。
【田原】家で、そう思うのですか。
【永守】いえ、すごさを感じるのは海外に行ったときでしょうか。東南アジアに行くと、パトカーが迎えにきたりするのです。おそらくただのお金持ちなら、こうはならない。現地で事業をつくってたくさんの雇用を生んでいるから、国のトップからもリスペクトしてもらえるのでしょう。
【田原】家ではどんなお父さん?
【永守】厳しいですね。理屈じゃない、昔の昭和の厳しさです。勉強しろとか、こう生きろといったことは一切言いませんが、社会に迷惑をかけることはするなとしつけられました。小学校1年生のとき、教室で吐いてしまったことがあります。普通は泣くのかもしれませんが、私は吐いたものを自分で掃除した。その様子を見て先生が驚き、母に「永守家ではどんな教育をしているのか」と電話をかけてきたそうです。
【田原】厳しいと、反抗期の反動も大きそうだけど。
【永守】いや、反抗期なんてないです。怖くて反抗できない(笑)。
【田原】大学は明治の理工学部。理工学部を選んだのはなぜですか。
【永守】実家が電気屋で、小さな頃からモーターや電化製品に囲まれて暮らしていたので、自然な選択でした。
【田原】ところが大学に入学後、腸閉塞で入院生活を余儀なくされる。
【永守】生まれつきの病気で、学生になって再発しました。
【田原】いまはもう大丈夫ですか。
【永守】社会人になってからアメリカで治しました。