億劫に思うこと、面倒くさいと思うことは、誰にでもあるでしょう。でも、逃げてばかりいると、人生は先細ります。一流と呼ばれる人は、そのことをよく知っていて、意識的に自分の尻を叩いて苦手なことに挑戦する。それによって自分の糧としているのだ。

「気が重い」「ノーギャラ」でも、参加する理由

先日、米国のビジネススクール(米ダートマス大学経営大学院)の会議で香港を訪れました。

私がこのビジネススクールを卒業したのは30年以上も前ですが、3年ほど前に依頼を受けてアジア地区のアドバイザリーボードのメンバーを務めることになり、年に一度、香港での会議に参加しています。今回の出席者は学校のスタッフを含めて15人ほど。他にも、大学のスタッフと2度ほど少人数の会議をしました。もちろん、会話はすべて英語です。

私は、ここ10年以上、普段の仕事や生活で英語を使うことがほとんどありませんでした。だから正直に言えば、英語での会議は億劫です。旅行や日常会話に困ることはありませんが、それでも、会議参加者の3分の2ほどがネイティブ。他はアジア人ですが、ほとんどが米国系金融機関のビジネスパーソンで普段から英語を使っていますから、会議の流れについていくのはなかなか大変です。加えて、何度か発言を求められますので、少し気が重い会議です。

▼大変なことでも平気と思える思考回路

日本では、大勢を前にした講演やテレビでの出演が仕事の一部になっているので、人前で話したり会議に出たりする場合に緊張することはありません。しかし、英語だけの会議に出ると、勝手が違います。この香港での会議は、仕事でもなく、また私が行かなくとも大勢に影響はないので、行くのをやめようかとも思うこともありますが、お世話になった学校ですし、頼まれたことでもあるのでと自分の尻を叩いています。ただ、これも「勉強」「ただで英会話学校に通っている」と考えると、少し気持ちが楽になります。

心理学の言葉で「快適ゾーン」というものがあります。

自分が快適と感じる範囲のことで、その範囲は人それぞれ違います。普通の人にとっては大変と思うことでも平気でいられる人は、この快適ゾーンが広いといえるそうです。逆に、ちょっとしたことでも不安に感じる人は快適ゾーンが一般の人より狭い。