人並み以上に仕事の成果を上げている。日々の生活も充実している。それは悪くないことだが、「これぐらいでいいかな」と満足してしまうビジネスパーソンが多いと経営コンサルタントの小宮一慶氏は語る。一流の人は、「もうこれでいい」と思うのではなく、「まだやれることがあるのではないか」と考えている――。
「なれる最高の自分」を目指す人がなぜ少ないのか?
講演でビジネスパーソンの皆さんに「なれる最高の自分」を目指すことが大切です、とお話をすることがあります。なぜなら、多くの人が現状に満足してベストの自分を発揮していないからだと感じているからです。
「GoodはGreatの敵」
これは、全米1435社の中から、大きな飛躍を経験し、以後15年間にわたってその実績を維持した11社を分析した『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』(J.C.コリンズ/日経BP社)の冒頭の言葉です。Goodとは「そこそこ良い」状態。そうした現状に満足し、より高み(Great)を目指さない人が多いことに著者が警鐘を鳴らしているのです。
このGoodとGreatの差が、一流と二流の差ではないか。私はそう感じています。
とりわけビジネスパーソンは「仕事で自己実現」をする度合いによって人生の充実度が大きく変わってきます。好むと好まざるとにかかわらず、ほとんどの人は20代~50代の気力知力体力が充実した「人生の一番良い時間帯」を仕事に投じています。
一代で上場企業を築いた経営者の「共通点」
その仕事において、もし「自己実現」ができないとすれば、それはとてももったいない。私が言う「自己実現」の大前提とは何か。それは前述した「なれる最高の自分」を目指すことです。そして、実際に目指すときにとても大切なこと。それは自分にとって「なれる最高の自分」とは何かを「具体化」することです。
経営コンサルタントである私の顧客のなかで、一代で上場企業を築いた方が何人かいらっしゃいます。その仕事ぶりをそばで見ていると彼らは個人としても経営者としても、常に具体的な目標設定をしてその“最大値”のパフォーマンスを目指し、さらにそれを更新しようと日々工夫を凝らしています。