疑似科学に「お墨付き」を与える危うさ
そして、船井氏は、こうした世界において「お墨付き」を与える権威としてとらえられるようになる。船井氏が推奨したことで、世の中に広まった代表が「EM菌」である。これは「有用微生物群」の略称で、琉球大学の教授が提唱したものであることから、科学的な裏付けがあるものとして受け入れられていったが、一方では、疑似科学なのではないかという批判の声も強い。
昭恵夫人は、船井総研の機関誌に文章を寄稿している。また、「オープンワールド」の後を引き継ぐかたちで続けられている「船井フォーラム」にも参加している、そのことは、彼女自身のフェイスブックで報告されている。
このように、昭恵夫人と船井氏の距離はかなり近い。2人は、関心を共通にしており、人脈も重なり合っている。
『朝日新聞』3月9日付朝刊には、昭恵夫人が名誉会長や名誉顧問としてかかわっている団体が、森友学園を含め20ほど列挙されている。
そのなかに含まれていないものとして、特定非営利法人「日本ホーリーバジル協会」というものがある。昭恵夫人はその理事の一人になっているが、ホーリーバジルとはインドの宗教において薬効があるとされるもので、協会はその販売を手がけている。
ホーリーバジルは、カミメボウキというシソ科の植物で、タイ料理でも使われるが、インドの伝統医学では神聖な植物であるとされている。
果たして、このホーリーバジルに薬効があるのかどうかは不明だが、放射能によって損傷したDNAを修復する力があるなどと主張する人間もいる。
昭恵夫人は、ホーリーバジルの薬効を信じているからこそ、理事になっているのだろうが、彼女を担ぎ出す側が、それによって自分たちの権威や信頼性を高めようとしていることは明らかである。
今や昭恵夫人は、船井幸雄氏が生きていた時代の役割を果たしつつある。
しかし、疑似科学にお墨付きを与えることは、かなり危険である。いつそれが問題を起こさないとも限らないからである。