最近、特に若い世代には、人と対立しても、自分で落としどころを見つけられない人が多いようです。依存心が強いせいでしょうか。「あの人は、本来はこうすべきなのに」と思っていて、相手がそのようにしないと不満を募らせる。相手が悪いと決めつける。それでは人として成長しないし、周囲との不和も絶えませんね。

人に頼るがままだったり、自分の要求を権利のように主張する関係では、いいチームはできません。使命は人に与えられるものではなく、自らが判断し、自らに課すものだ。そう思えれば、義に反する行為に対しては戦いも辞さない覚悟ができますし、逆に無益な諍いは避けるようになるものです。

すでに述べたように、仲裁には経験も人徳も必要です。知識として仲裁の方法を覚えるよりも、人間力という土台づくりに励むことが、他者と軋轢を生まない一番の近道だと思います。

武道教育研究家 風間 健
本名筒井稔。僧名道隆(どうりゅう)。気練・武心道道主、武道教育研究家。1943年、愛知県生まれ。少林寺拳法の開祖・宗道臣に師事。69年キックボクシング東洋ミドル級王者、76年フルコンタクト空手世界ミドル級王者。98年より国士舘大学武道徳育研究所顧問。
 
(高橋盛男=構成 石橋素幸=撮影)
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