アメリカの原子力事業で巨額損失を計上し、一気に経営危機に陥った東芝。これは日本企業が陥りやすい世界化の罠の典型的なパターンだ。
米子会社破産なら損失1兆円
アメリカの原子力事業で7000億円を超える巨額損失を計上し、一気に経営危機に陥った東芝。債務超過を避けるために、すでに売却してしまった東芝メディカルだけではなく、シェアトップのTEC、稼ぎ頭の半導体事業を分社化して株式を切り売りすることなどを模索している。主力事業の原発事業に関しては米原子力発電子会社「ウェスチングハウス(WH)」に米連邦破産法11章(日本の民事再生法に相当)を適用し、原発の建設から撤退する検討に入っている。それに伴い損失額が1兆円程度に膨らむ可能性がある、と伝えられているが破産しなければ損失が確定しないために今年の株主総会は乗り切れない、などの問題を抱えている。
巨額損失の原因になったのは東芝の米国子会社であるWHが買収した米原子力サービス会社ストーン&ウェブスター(S&W)ののれん代(M&Aの際、買収額から買収先の純資産を差し引いた額)だ。もともとのれん代は100億円程度と見積もっていたが、昨年末にS&Wの正味の資産価値を再評価したところ数千億円規模の損失が判明、今年1月には債務超過となる7000億円規模と報じられた。
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