紫外線の影響で引き起こされる病気は意外に多く、「シミ」もそのひとつ。まさに紫外線の季節到来!というと、「夏の間違いだろう?」という声が聞こえてきそうだが、紫外線の強い季節は4月から9月。4月は8月に匹敵するほど紫外線は多く、強い。
女性は1年中紫外線予防を行っている人が多くなったが、男性もこれからの紫外線量の多い季節はしっかり予防をすべきで、さもないとシミに泣かされることになってしまう。
もちろん、シミは紫外線ばかりが原因ではない。「女性ホルモン」「年齢」「炎症」も関係している。
一般的に人々がシミと思っているものには「老人性色素斑」「肝斑」「そばかす(雀卵斑)」「扁平母斑」「太田母斑」「日光角化症」がある。が、実際には老人性色素斑と肝斑のみがシミである。その治療法を紹介しよう。
●老人性色素斑
老化にともなってできる褐色の色素斑が老人性色素斑。紫外線に長期間あたるのが大きな原因で、顔のみならず、腕や手、首など陽のあたるところにできる。治療は「レーザー治療」「光治療」「スキンケア」の3種類が中心に行われている。
レーザー治療では「Qスイッチルビーレーザー」が使われる。このレーザーの波長はメラニン色素に吸収されて破壊する。レーザー治療後は肌色の遮光テープを貼ったり、UVカットクリームを塗ったりしてしっかり紫外線カットする。治療後3週間もすると、照射部位が一時的に黒くなるタイプの人が60%程度いるが、その場合は脱色クリームで対応する。
光治療はメラニン色素に反応する弱い光を照射する、レーザー治療よりも柔らかく対応していく治療である。
また、メラニンの活性を低下させるには、ビタミンCローションや、炎症を起こさないようにするトラネキサム酸混合クリームなどを外用する。
●肝斑
肝斑はメラニンが皮膚の表皮内に増えてできる色素病変で、日焼けしやすい両ほほ、額、口の周囲など、顔の両側に左右対称に表れるのが特徴。男性にはほとんどみられないことから、女性ホルモンが関係していると考えられている。
肝斑にはレーザー治療は行われない。なぜなら、レーザーを照射すると必ず炎症後色素沈着が起き、照射前よりシミの色が濃くなるばかりか、それが治るのに時間がかかり、治ってもすぐに再発してしまうからである。
的確な治療はビタミンC、Eといった抗酸化剤を服用、特効薬のトラネキサム酸も服用する。これだけで肝斑が良くなってしまう人もいる。
ただし、前述のように、肝斑には女性ホルモンが影響しているので、治療をやめると閉経くらいまで再発を繰り返してしまう。長期にわたり根気良く治療を続けるのが大きなポイントとなる。
【生活習慣のワンポイント】
肌のトラブル「シミ」は、予防してつくらないのが一番! そのポイントは次の5点である。
(1)紫外線にあたらない!…これは5月からではなく、1年中実行するのが大事。「日傘をさす」「帽子をかぶる」「長袖の服を着る」「UVカットのサングラスをかける」「日焼け止めクリームをこまめに塗る」など。
(2)酸化させない!…普段から抗酸化剤のビタミンC、Eなどを飲んで活性酸素を除去するように努める。
(3)炎症を起こさない!…顔を強くゴシゴシ洗うのは顔に炎症を起こしているようなもの。それが酸化に結びつくので、洗顔は肌をいたわるように――。
(4)乾燥させない!…化粧を落とすとき、洗いすぎは肌の保湿成分をも落としてしまう。洗顔後は十分に保湿に努めること。
(5)肌を清潔に!…皮膚の新陳代謝が悪いとメラニンが蓄積しやすいので、美白剤などでしっかりケアを。