官僚バッシングは過激化するばかり
わたしの古巣である文部科学省が天下り問題で揺れている。官僚トップの前川喜平事務次官が引責辞任し、計7人が懲戒処分となる展開は極めて重大なことであり、省内には激震が走った。ことに、前川次官の辞任は衝撃だったろう。リーダーとして職員の信望が厚いだけでなく、全国各地を回って積極的に教職員や高校生、大学生に語りかけ、子どもたちの学習環境を守るため先頭に立って活動していた。辞任の日に全職員に向け発信したメールは「気は優しくて力持ち、そんな文部科学省をつくっていってください」と結ばれており、一部で報道されると教育関係者を中心に好意的な反響を呼んでいる。
ただし、国家公務員法が定める再就職規制に違反したという厳然たる事実は消えない。求職に省庁が直接関与すること、現職の公務員が求職活動を行うことの禁止事項2点に明らかに抵触しただけでなく、再就職等監視委員会に対して虚偽の説明を捏造した行為まであっては、悪質との誹りを受けても仕方ないところである。先輩のわたしから見ても敬愛に値する次官を失う結果になったのは痛恨の思いだろうが、甘んじてそれに服さねばなるまい。
しかしその一方で、すべてを「天下り=悪」と決めつける考え方には異議を唱えておきたい。