優良ドライバーほど新型保険は魅力的

昨年11月、損害保険各社でつくる損害保険料率算出機構は、自動ブレーキなどを備えた先進安全自動車(ASV)の保険料を9%引きにすると発表しました(※1)。 各社は来年1月から割引を適用する方針です。ASVは高齢運転者の事故対策に極めて有効です。先進技術による保険料負担の軽減は、ドライバーだけでなく社会に貢献するものといえましょう。

ASVはセンサーとブレーキなどを組み合わせた仕組みですが、将来的にはそうした運転データはネットでやりとりされるようになります。そこで問題になるのは「IoT(モノのインターネット)」の使い方です。私の専門のひとつである自動車保険にも重大な影響が見込まれます。自動車に様々なセンサーが搭載されることで、ドライバーの「腕前」がわかるようになれば、それにあわせて保険料も大きく変わるからです。

IoTを使った自動車保険は「テレマティクス保険」と呼ばれます。海外では、アメリカ、イギリス、ドイツなどで導入が始まっており、アメリカでは約500万人、イギリスでは約50万人の利用者がいます。

この保険には「PAYD型」と「PHYD型」の2つがあります。前者は「Pay As You Drive」の略で、契約車両が実際に走行した距離を基に保険料を算出します。走行距離に応じて保険料が変わる「マイレージ型自動車保険」は日本にもありますが、その多くは「予想走行距離」です。PAYD型では、実際の走行距離を基に保険料を算出します。この仕組みは合理的ですが、保険料が劇的に安くなるわけではありません。