役員同士の「不仲」で工場設備が別々だった

シャープの戴正呉社長は3月13日、大阪府堺市のシャープ本社で初の記者会見を開いた。シャープを買収した台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業のナンバー2だった戴氏が社長に就任したのは昨年8月。7カ月間、戴氏は沈黙を守ってきたが、その間にシャープの業績は回復基調に乗り、株価は4倍に跳ね上がった。ホンハイはシャープをどう改革したのか。記者会見での戴社長の発言を元に検証する。

記者会見するシャープの戴正呉社長(3月13日、大阪府堺市、筆者撮影)。
──ホンハイが経営に携わるようになって7カ月。シャープの業績は確実に上向いている。シャープのどこが悪かったのか。

それは喩えて言えば「社長と副社長の問題」だ。社長は液晶パネル工場を建てる。副社長は太陽光パネル工場を建てる。両者の生産工程はよく似ており、本来は(配電設備や水処理設備などの)ユーティリティーを共有できるのだが、シャープではそれぞれが独自のユーティリティーを持っているのだ。

なぜこんな馬鹿げたことが起きているのかというと、社長と副社長の仲が悪いからである。私はシャープの社長になって、最初の1カ月、この会社をじっと観察した。するとこんなことがあちこちで起きていた。