「家電メーカー」と名乗っていてはダメ
──シャープの業績悪化は、マネジメントの問題だったということか。
そう思う。例えば3500億円の偶発債務のうち、半分は中国で発生している。シャープは海外に約200社の子会社を持っているが、そこの社長は大半が日本人で、しかも社内評価がAグレードではない人がたくさんいた。Aグレード以上の人材はみんな国内にいた。
これからは部長以上の人材にしか海外子会社の社長はやらせない。現地の優秀な人材も登用していきたい。日本人の英語能力で現地のお客様とコミュニケーションするのは難しい場合が多い。国籍、性別に関係なく多様な人材が活躍できる会社にする。
幸いなことにシャープには優秀な技術者が数多く残っている。人材が流出していると言われるが、管理職が出ていくのなら心配ない。
シャープ従業員の平均年齢は50歳。ソニーは47歳だと聞いている。私の印象でも、新聞やテレビの報道に登場するシャープの幹部は白髪の人が多かった。若返りを進め平均年齢を45歳くらいに是正したい。
〈解説〉2012年にシャープがホンハイと提携交渉を進めていた時、シャープの町田勝彦会長(当時)は「テリー(郭会長)の周りにいるTシャツにGパンの汚い格好をした若者たちが、話してみるとやたらに優秀でスタンフォードやMIT(マサチューセッツ工科大学)出身だったりするので驚いた」と語っていた。
年齢、国籍に関係なく実力主義で人材を登用するのがホンハイ流であり、戴氏はそのホンハイで長年、人事の責任者を務めてきた。シャープでも人事改革に乗り出しており、「賞与は平均で年間4カ月だが、業績に貢献した社員には最大8カ月を出す」と「信賞必罰」の方針を打ち出している。