アライアンスの監督専任へ

そして、次にゴーン氏が考えているのはルノーのCEOポストだ。任期は2018年6月までとなっており、フランス政府が保有するルノー株の動向によっては来年にはCEOを譲る可能性が高い。4月に大統領選を控えるフランスでは、財政赤字の削減のため政府保有株の扱いが俎上に上がっているのだ。

「私はアライアンスの戦略面および事業上の進化により多くの時間と労力をかけ、パートナー各社にアライアンスの持つ規模による競争優位性をいかんなく享受させる」

ゴーン氏は今回の社長交代のリリースでこう謳っているように、今後はアライアンスのCEOだけに専念する考えなのだ。

日産、ルノー、三菱自動車の経営はそれぞれのCEOに任せ、自身はそれをアライアンスの立場から監督する。もちろんCEOにはそれぞれ高いコミットメントを出させる。当然、それを達成できなければCEOは退任である。

これが、ゴーン氏にとって最もやりやすく、都合のいい体制だろう。これから世界一の自動車メーカーに向けて、ゴーン氏は西川CEOらにアメとムチを与えながら、アクセル全開で先行3社を追い抜こうとするのは間違いない。

(宇佐見利明=撮影)
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