見えてきた自動車メーカートップの座
しかもゴーン氏には野望もある。それは世界一の自動車メーカーになることだ。日産・ルノー連合の世界販売台数は三菱自動車分を加えると996万台。独フォルクスワーゲン(1031万台)、トヨタ自動車(1017万台)、米ゼネラル・モーターズ(1000万台)に迫る規模になり、トップを完全に射程内におさめた。
昨年5月、三菱自動車を傘下入りさせる記者会見の際、ゴーン氏は最近見たこともないような高揚感で、大げさな身振り手振りを交えながら話しまくっていた。おそらく世界一の自動車メーカーが見えてきたため、興奮を抑えきれなかったと推測できる。
その時からゴーン氏はどうしたら早くそれを実現できるか、と体制づくりを練っていたに違いない。その一つの表れが今回の社長交代だったわけだが、幸い日産は課題だった国内販売も昨年後半に発売した「セレナ」と「ノートe-POWER」によって好調に推移している。
おまけに腹心とも言える西川共同CEOも育ってきた。同CEOはゴーン氏の言うことを着実に実行するタイプの人間と言われており、ゴーン氏が気に入りそうな提案をするのが得意だという。それはコメントにも現れている。
「この新たな責務を任せてくれたゴーン会長と日産の取締役会に感謝しています。ゴーン会長の下、日産の優秀な経営陣と協力し、日産が今後も継続的に好業績を上げ、発展し、そしてアライアンスの成功に貢献していくべく、力を尽くしていきます」