できる同期ではなく、目標はできる上司

ただし、闇雲に手を挙げても、バッターボックスには立たせてくれません。芸事で基礎をマスターできないうちは、次のステップに進ませてもらえないのと同じで、ビジネスのルールやマナー、業務の基礎知識が身に付いておらず、何の実績もない人間は、仕事を任せてもらえません。基本の仕事はきっちりこなせるように、日頃から準備をしておきましょう。

20代のときの目標は、「自分にはちょっと無理かな」と思うくらい、高めに設定することです。20代は伸びしろが大きいので、そのほうが大きく成長できます。たとえば、同じ会社の人を目標にするなら、「同期のできるヤツ」ではなく、「できる上司や先輩」にしましょう。ボクは、社内の先輩や上司だけでなく、取引先の管理職など社外からもできる人の長所を集めた、ハイブリッド型の「ビジネスパーソンの理想像」を作り上げ、それを目標にしていました。

達成したい夢や目標があるなら、公言します。そうすれば、自分を追い込むことになり、夢や目標が「やりたい(want to do)」ことから、「やらねばならない(have to do)」ことに変わります。

仕事でなかなか自信が持てないという20代の人にお勧めしたいのが、何か一つでも、小さなことでもかまわないので、ほかの人に負けない得意領域を作ること。得意なことで上司や先輩の役に立てば、名前を覚えてもらえ、目をかけてもらえるようになります。それが自分の自信にもつながります。

私の場合は、学生時代から関心があった「IPv6」の知識でした。当時は「IoT(モノのインターネット)」の概念すらなく、社内でもよく知らない人が多かったので、私の商品知識は上司や先輩から重宝されました。どうせ得意領域を作るなら、そうした誰も手をつけていない「ブルーオーシャン」な分野がいいでしょう。スマホやSNSといったITがその典型ですが、上の世代の人たちが不得手な新しい分野が狙い目です。

吉山勇樹

ハイブリッドコンサルティング代表取締役CEO。大学時代にベンチャー企業の創業・運営に参画。卒業後は大手通信会社で新規事業開発を担当。その後、教育人材コンサルティング会社を経て独立。研修・講演などで活躍。
 
(構成=野澤正毅 撮影=加々美義人)
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