同級生もみんな利用しているからと、安易な気持ちで奨学金を借り入れるのは危険だ。申し込みの前に、本人も交えた家族全員で、授業料や仕送りなど進学費用の全体像を確認。親が出せるお金と合わせ、どのくらい貸与を受ければ必要な出費がまかなえ、かつ卒業後の返済も無理なくできるかを、具体的に話し合おう。月々の貸与金額や在学期間を入力すれば、卒業後の返済月額を概算できる、JASSOのウェブサイトのシミュレーションページも活用したい。
延滞者は、書類の作成を親まかせにするなど、申請手続きに主体的にかかわっていなかった場合が多いというデータもある。「もらえるお金」ではなく「借りて返すお金」なのだという実感をわが子に持たせるとともに、不注意も含めた延滞を絶対に避けるよう言い聞かせよう。
最近は親が子供の奨学金を肩代わり返済するケースも多いようだが、その場合も親の事情や手違いで返済を滞らせないよう注意したい。延滞したのが親でも、信用情報に傷がつくのはわが子だ。
一方で、奨学金を肩代わりした結果、親たちの老後資金の積み立てができていない事例も、家計相談を受けるなかでしばしば見かける。「学費ぐらいは出してやりたい」という親心は理解できるが、老後資金が不足すれば、結局は将来わが子に迷惑をかけることも意識してほしい。
(構成=川口昌人)