柳井社長が一人になるのを待っていた
マーケティング部に移った勝部は、今後を決定付ける出会いをした。新生銀行会長・八城政基である。従来の銀行のキャンペーンといえば、公園で家族がサッカーボールを使って遊んでいるようなイメージ戦略が中心であった。新生銀行では、「手数料0円」「5年物定期預金年利1%」などのダイレクトレスポンス的な広告戦略を徹底的に推進した。
八城のリーダーシップのもと着実に成果を挙げたが、少人数かつ低コストで成果を生み出しつつあったインターネット・マーケティングに着目した勝部は新聞・TVによるマス・マーケティングの効率性に違和感を覚えていた。そこで銀行よりも消費者に近いポジションでマーケティングに関わるためにユニクロへの転職を決意する。
だが、またしても望んだ仕事を得られたわけではなかった。「銀行出身」というキャリアが邪魔をして、予算管理や顧客からの苦情処理係などの業務に配置された。
「このままでは駄目だ。どうにかしなくては!」
勝部は悩みながらも目の前の仕事をこなし、インターネットと自分の可能性についてアピールする機会をうかがった。挫折をチャンスに変えてきた勝部には確信があったのだ。