2016年6月、米航空宇宙局(NASA)が電気飛行機「X-57」を17年試験飛行するという構想を発表し、注目されている。電気飛行機は燃料の代わりに電池、エンジンの代わりに電動モーターを用いるもので、次世代航空機と目されている。エンジンで飛ぶ従来の飛行機と比較して、化石燃料を使わない、エンジン音が軽減される、低振動、安全性が高い、燃料費と整備費の大幅削減といったメリットが挙げられる。
1970年代から開発が始まったが、電池と電動モーターの技術革新があったことをきっかけに2000年代に入り開発が急進。今年4月には欧州大手のエアバス・グループと独シーメンスが共同開発で電気またはハイブリッド技術を用いた機体の飛行試験を行うと発表。日本では、15年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が電動推進システムを載せた機体を使った有人での飛行試験を成功させている。
JAXA航空技術部門次世代航空イノベーションハブ主任研究開発員の西沢啓氏は、「大型の機体ほど電動化するのが重量的に困難なので、短中期的には、数人乗り程度の小型航空機や無人機としての用途が最有力。電動化によって機体の運用が容易になるので、飛行機ユーザーの裾野が広がる効果がある」と話す。今後の実用化が待ち遠しい。
(AFP/時事=写真)