戦争や大災害の跡地など、歴史的に悲劇を伴う場所を旅することを「ダークツーリズム」と呼び、今世界的にブームとなっているという。ポーランドのアウシュビッツ強制収容所やウクライナのチェルノブイリ原子力発電所、広島の原爆ドームといった場所が代表的である。

ダークツーリズムとして人気の博物館 網走監獄。(時事通信フォト=写真)

日本でも人気が出てきた背景として、北海道大学大学院の岡本亮輔准教授は、近年、各地の廃墟巡りをしたり、工場見学をしたりする趣味性の高い観光ジャンルが開拓されたことと関係すると指摘する。人気があるものの一つに、太平洋戦争の跡地を巡る旅がある。戦争から70年以上経ち、多様な見方が可能になり、研究も進んで新たな資料も出てきている。「跡地にまつわる新しい物語も出てきた」(岡本氏)ことも、戦地巡りの人気につながっているようだ。

ダークツーリズムはビジネスチャンスになりうるか。岡本氏は博物館網走監獄を成功例に挙げる。網走監獄は思想犯や政治犯が収監されていた場所だが、博物館の展示は娯楽性が高いつくりになっていて、人気の観光スポットである。ただ、悲劇を伴う場所を観光地化するにあたっての留意点もある。「自分たちの展示がどのような解釈に基づいているのか、訪問者のすべてがその解釈に同意するとは限らないことを意識しておくべき」(同)。

(時事通信フォト=写真)
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