三菱自動車やスズキが起こした燃費データ不正事件が波紋を広げている。自動車の燃費とは「1Lのガソリンでどれだけの距離を走れたか」という数値だが、これには「実走行燃費」と「カタログ燃費」とがある。私たちが現実に運転する際の燃費は実走行燃費だ。カタログ燃費とは、国土交通省が定める測定方法を用いて計測する数値で、使用環境や運転方法が現実とは異なるため、実走行燃費よりも良くなる傾向にある。
ただ、カタログ燃費も少しずつ計測法を実走行に近づけてはいる。日本ではかつて「10・15モード」という計測法が採用されていたが、2013年3月以降は「JC08モード」という、速度変化やエンジンが冷えた状態からのスタートなども考慮した現実により近い計測法だ。「今の(国産現行車の)カタログ燃費の大体7割くらいが実走行燃費だと考えている」と自動車評論家の国沢光宏氏は話す。
このカタログ燃費だが、日本と海外では走行抵抗の算出方法が異なり、海外のほうが良い数値が出やすい。三菱自動車は海外基準のデータを補正してカタログ燃費を算出していた。一方、スズキは日本基準だが、国の定める正規の実測データではなく、自社の実験室内で積み上げたデータを使用していた。両社ともルール違反であることに変わりはない。
(AFLO=写真)