ドラッカー「(ルール守らぬ者は)社会での存在を許されない」
東芝の不正会計に続き、三菱自動車の燃費不正問題が明るみに出ました。旭化成建材のマンション杭の問題も社会を騒がせました。経営コンサルタントとして直接の取引がなくても、企業不祥事が続くことはとても心が痛みます。法律やルールというものに対する認識の低さは、日本人経営者の劣化の表れだと感じるからです。
ピーター・ドラッカーは、
「法律というものは、世の中の人たちが平和に暮らすために、最低限守らなければならないもの」
とし、それすら守れない企業は、
「社会での存在を許されない」
とまで言っています。
松下幸之助さんも、
「ただ、成果をあげさえすればいいんだというわけで、他の迷惑もかえりみず、しゃにむに進むということであれば、その事業は社会的に何ら存在意義をもたないことになる。だから、事業の場合も、やっぱりその成果の内容――つまり、いかに正しい方法で成果をあげるかということが、大きな問題になるわけである。」(松下幸之助著『道をひらく』内「大事なこと」より)
とおっしゃっています。
また、松下さんは同じ『道をひらく』の中で、次のようにも述べておられます。
「平和に 幸せに暮らすための 大切な約束なのだ
法律やルールを おたがいに きびしく守ろう
なすべきこと なすべきでないことの区別を
大人も 子供も ひとしく心に刻みつけてこそ
この国の政治も 経済も 文化も 教育も
民主主義の国にふさわしい 能率的な
いきいきとした 発展の道を歩むことができよう」
法律やルールを守らない会社の場合、「存在」さえ許されかねなくなるのです。もちろん、法律違反も軽微なものから重大なものまであるでしょうが、法律違反や不正の結果は、東芝や三菱自動車の事例を見るまでもなく、会社の業績や信用が大きく落ち、働く人も社会も幸せにはなりません。場合によっては、事業の切り売りや人員削減、さらには破綻ということにもなりかねません。まさに「存在」を許されなくなるのです。