東芝・三菱自は「考え方が間違っている」

また、このことと大きく関連して、相次ぐ不祥事を見るにつけ、経営者の「考え方」の劣化が著しいと私は感じています。

京セラ名誉会長の稲盛和夫さんは「成功の方程式」として「考え方×能力×熱意」を唱えておられます。この方程式において、稲盛さんは「能力と熱意はゼロ点から100点までだが、考え方はマイナス100からプラス100点まである」とおっしゃっています。

能力も熱意ももちろん人生や経営を成功させるためには必要ですが、考え方がマイナスだとかえって大きなマイナス点になってしまうということです。一番大事なのは、考え方なのです。

もうひとつ、これは、以前にも書きましたが、「目的」と「目標」がすり替わってしまったことも大きな問題です。

P.F.ドラッカー著『エッセンシャル版 マネジメント 基本と原則』[ダイヤモンド社刊、上田惇生編訳)。

会社の目的として、ピーター・ドラッカーは、全企業に共通するものは2つあると言っています。

ひとつは、独自の商品やサービスを提供して、社会に貢献すること。
もうひとつは、会社で働く人たちを活かし幸せにすることです。

多くの会社ではこれらを理念・ビジョンやミッションとして掲げています。ところが、東芝にしても、三菱自動車にしても、経営陣はこの目的を忘れてしまったということでしょう。

一方、目標とは、その目的に到達するための通過点であり、目的の達成度合いを測る尺度や結果であります。「〇〇億円の売上高、利益」というのは、目標です。働いている人がしんどくなったり、不正まで行ったりする会社は、多くの場合、本来の目標であるべき「数字」が目的化しているのです。今回の燃費不正の三菱自動車の例はまさにこれです。