ダブルスタンダードとガラパゴス化

これを裏付けるように、中小やベンチャー、あるいはインターネット系大手などには採用直結型のニーズが強く、大企業に先手を打って実施するケースが多い。それは、指針が4年生の6月と定めた採用選考の解禁を待たずに学生に内定を出すのと同じ次元の動きでもある。経団連会員企業にしても指針については必ずしも一枚岩でない。

11月15日に発表した就活に関するアンケートの結果、5日以上とするインターンの規定を見直すべきと答えた企業は42%にも達し、指針が実態に合わないと感じている会員企業が多いことを裏付けた。経団連はこうした意見を反映し、19年春卒の学生からこの規定を撤廃する方針を固めたことが12月1日、明らかになった。これに従えば、1日だけのインターンも可能になり、先行して学生との接点を得てきた非会員企業にも対抗できる。

こうしたダブルスタンダードが存在し、学生を混乱させている現状を踏まえ、政府もインターンのあり方について具体的な検討を始めた。今年5月にまとめた規制改革実施計画に、インターンと採用の関係の見直しを盛り込んだ。焦点は採用直結型を認めるかどうかにあり、文部科学、厚生労働、経済産業の3省は7月に検討会を設け、インターンの定義やあり方など検討に着手し、来年3月までに一定の方向をまとめる。

しかし、期間が3カ月を超え、受け入れた学生に報酬も支払うのが一般的な欧米型に比べ、日本のインターンは国際的にも特異な存在で、完全な「ガラパゴス化」に陥っている。そうしたなか、経済同友会に加盟する17社は今夏、全国から70人の1、2年生を受け入れ、1カ月超の長期型を実施し、曲がり角を迎えつつあるインターンに一石を投じた。「採用」か「学業」か――。本音と建て前が交錯し、就活生が浮き足立つなか、インターンをめぐる論議は白熱化している。

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