『チーズ』でも『ピース』でもなく『ピーチ』

何を話すかが決まったら、そこからが勝負なんです。刺さる言葉で、どういうストーリーを伝えるか。さらに、誠意と熱意を持って、「このようになったら、みんながハッピーになりませんか」と豊かなストーリーで話すことが大切なんです。そのうえで、笑いがなければだめですね。同じ仕事をするなら楽しいほうがいいじゃないですか。

「ピーチ」という社名を冠することにも、決まるまでは揉めに揉めたんです。社内で挙がった候補だけでも500はありました。でも、どこかで聞いたことがあるような似たり寄ったりの名前ばかりでつまらない。私はアジアに駐在していたので、桃は中国では不老長寿の象徴として、韓国では子宝に恵まれる吉兆として、さらに多くの国々で、幸せに、お金持ちになれるというラッキーシンボルとして人気があると知っていました。それで、聞いただけでほのぼのするような言葉はないのか、と主張して、「ピーチ」という名前を挙げたら、突き抜けた発想で刺さるネーミングだったのか、みなさん、うけて面白がったんです。

求める客室乗務員の人物像としては、「たばこ屋の看板娘」と言っています。同じたばこを売っているのに、なんであの店だけ売れているのかと思ったら、そこの娘さんが親しみやすくて、誰にでも気さくに話しかけて人気のある魅力的な女性だった。

航空会社もそうです。どこの会社も、安全運航で、使っている飛行機は同じだし、サービスも一緒ですよね。何で差をつけるのか。客室乗務員、つまり看板娘でなければだめなんです。

もちろん、言葉は注意深く選んでいます。でも、しょっちゅう、ぶっ飛んだことを言ってます。際どいんですよ、笑いがあってエッジが立ってるから。私がバカなことを言ってるのを聞いて、社員たちはときどきドン引きしています(笑)。

でも、「CEOがこんなバカなことを言ってるんだったら、俺も一つくらい冗談を言っても許されるだろう」と気楽になるらしい。おかげさまで、「よくぞ集まってきたな」と思うユニークでタフな社員たちであふれています。

先祖の代から江戸っ子で私も関東の人間なんですが、関西とすごく馴染むんですよ。関西の人は、話術が巧みで笑いを絶妙に入れますね。弊社は関西国際空港が拠点ですので、客室乗務員も関西出身の人が多い。みなさん、コミュニケーションが上手です。