締めの直接取材で情報の裏を取る
喜多さんは雑誌を読む目的を「情報のシャワーを浴びるため」と表現する。雑誌を手にしたら、すぐに全ページをパラパラめくるのが習慣だ。
「雑誌は、対象がセグメント化されていて、情報の密度が高いのです。書籍と新聞でベースを作ったら、テーマを深掘りするのに適しています。また、コピーが練られており、ビジュアルを工夫するなどわかりやすさを追求しており、情報をどのように提供したらいいかの参考にもなります」
ネットを活用するのは、ようやくその後になる。「この段階までくれば、頭のなかでリサーチの方向性や情報の選択基準が定まり、検索のための適切なキーワードが浮かんできます」と喜多さんはいう。それを手がかりにネット検索をかければ、お目当ての情報を手に入れられる。
最後が識者へのマン・ツー・マンの取材。生の情報を得たり、情報の裏を取ったりして、リサーチの精度を上げるのが主な目的だ。喜多さんは、「入念な準備をしていれば、取材で得られる情報の質は格段に上がります」と話す。
喜多さんが遵守するリサーチの手順は一見、非効率のようである。しかし、「これまでの経験上、価値ある情報を得るのに、最も時間がかからない方法」だと喜多さんは強調する。「急がば回れ」がリサーチの極意のようだ。
▼「欲しい情報にたどり着く」ための5つのステップ
[1]書籍を読む――専門家の研究成果から切り口を手に入れる
[2]新聞に当たる――識者の意見を含めた最新情報のチェック
[3]雑誌で情報のシャワーを浴びる――テーマを深掘りし、ビジュアルで理解を促進
[4]ネットで検索――取捨選択したキーワードで正確な情報ソースに到達
[5]マン・ツー・マンの取材――生の情報や裏取りで精度をアップ
1964年、兵庫県生まれ。大学卒業後、出版社、新聞社などを経て、94年からテレビ番組リサーチャーの活動を開始。98年よりジーワンに参加、チーフリサーチャーを務めている。また、一般企業向けのリサーチも幅広く行っている。