男のエネルギーを吸い取る女には要注意
酒はあまり飲まぬ青木氏だったが、トランプ氏の女性秘書が運んできたカクテルを口にしつつ、笑顔でトランプ氏とビジネス話に終始した。
「私も当時は英語をかなり聴き取れたのですが、話の詳細については後でロッキーからも日本語で詳しくききました。リアルエステート、不動産賃貸に関する話だったと記憶しています。英国のピカデリーサーカス、キングズロードという地名が会話に出てきましたが、米国以外に進出したいと考えていたロッキーがその後まもなくこの2地点に出店しましたから、今から思えばトランプ氏が絡んでいたのかもしれません」
2人の会話は弾み、「ベニハナに来てくれ」と誘った青木氏に、「OK。来週はどうだ?」と応じたトランプ氏は、その言葉通り翌週の夜にニューヨーク56丁目、ヒルトンホテル近くのビル2階にある「ベニハナ・ウェスト(当時)」に1人で現れた。
今度は光沢のある紺のスーツにピンク系のネクタイで現れたトランプ氏は、まずは10個程度のテーブルが並ぶベニハナのウェイティングルームで20~30分、ジントニック片手に青木氏と女性の話で盛り上がった。
「ともに“英雄色を好む”タイプ。『いい女との出会いは、その男の人生を変える』と言ったロッキーに、トランプ氏は『いい女は、いろんな意味で男を盛り上げてくれる』『男を出世させる』と言っていたと記憶しています。私は当時日本で話題だった映画『あげまん』(1990年公開)を思い出しました。『エネルギーを与えてくれる女を選ぶのが勝者』と持論も一致したようで、笑い転げながら『逆に、男のエネルギーを吸い取る女には要注意』というロッキーの言葉には、トランプも深くうなずいていました」
(つづく)
(Best Image/アフロ=写真)