就職人気ランキングとは大きく異なる顔ぶれ

一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授 名和高司氏

100社のうち、順位が高い企業ほど、「成長」度も高いわけですが、逆にいえば、無理のある成長をして生き急いでいるのかもしれない。そう考えると、100社のなかでも、上位20社より、持続的成長を続けている下位20社のほうが健全という見方もできます。その代表格が89位につけたスイスのネスレでしょう。

企業にとって成長は大切だけれども、非持続的な成長では意味がありません。業績のアップダウンが激しい企業はマイナス評価にする、といった指標を入れるべきだったかもしれません。

100社を業種別に見ると、生産財が26社でトップ、その後に食品・食料・タバコが15社、医薬品・バイオテクノロジー・ライフサイエンスが11社と続きます。

生産財企業が強いのは、業績がぶれにくいからでしょう。生産財事業には大きな設備投資が伴いますし、高い技能の蓄積も必要です。新興国の企業が頑張っても、なかなか真似できないし、追いつけない。しかも消費財と比べて共通化が容易なので、グローバル化しやすい。こんなところが生産財企業が強い理由として考えられます。

日本でいえば、いずれも自動車部品メーカーである96位のブリヂストン、97位のデンソーが生産財企業です。三菱ケミカル、東レ、富士フイルムも売上高1兆円は超えていたのですが、他の指標で劣り、ランクインできませんでした。日東電工も面白い企業ですが、1兆円の壁を突破できませんでした。

ランク外で注目しているのは、何といってもグーグルです。同社は2000年以降に株式公開しているので対象から除きましたが、株価から企業価値成長率を推測した「成長の角度」という指標で見ると、アップルに次ぐ2位相当という結果になりました。

同じようにランク外ですが、日本企業で注目しているのがリクルートです。こちらも株式公開をしたのが2014年なので、対象外となりました。このリクルートも「成長の角度」指標で見ると、対象外ですが、34位相当です。日本企業ではファーストリテイリングに次ぐ2位につけています。